ならしのしぎかい たかはしまさあき
地籍調査とは、主に市町村が主体となり、一筆ごとの土地の所有者、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量する調査のことを指します。「地籍」とは、一言で言えば「土地に関する戸籍」のようなもので、各個人に固有の「戸籍」が存在し、それが幅広い行政場面で活用されるように、土地についても「地籍」の情報が様々な行政の場面で使用されます。しかしながら、習志野市においてはこの調査がいまだに行われていないのが現状です。
習志野市議会、令和3年第2回定例会の「一般質問」で地籍調査について、宮本太輔習志野市長に答弁を求めました。
「地籍」とは、いわば「土地に関する戸籍」のことで、各個人には固有の「戸籍」という情報があるように、土地についても「地籍」という情報があり、行政の様々な場面で、活用されています。次に、地籍調査とは、主に市町村が主体となって、一筆ごとの土地の所有者、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を、測量する調査で、国土調査法に基づく「国土調査」の1つとして、実施されています。我が国では、土地に関する記録は、登記所において管理されていますが、その半分ほどが明治時代に作られた公図などをもとにしたものです。そのため、登記所に備え付けられている地図や図面は、境界や形状などが、現実とは異なっている場合が多くあり、また、登記簿に記載された土地の面積も、正確ではない場合があるのが実態です。地籍調査が行われることにより、その成果は、登記所にも送られ、登記簿の記載が修正され、地図が更新されることになります。また、固定資産税算出の際の基礎情報となるなど、市町村における様々な行政事務の基礎資料として活用されます。しかし、習志野市においては、地籍調査が、全く行われていないと聞きますが、何故、習志野市では、地籍調査事業が進まないのか、お伺い致します。
習志野市の対応について、お答えいたします。地籍調査は、国土の開発及び保全や、その利用の高度化に資するとともに、地籍の明確化を図ることを目的として、市町村が主体となり、一筆ごとの土地の所有者・地番・地目を調査し、境界の位置と面積の測量を行う、国土調査法に基づく調査であります。この調査で得られた成果によりまして、法務局に備え付けられている地図や、土地登記簿が更新され、公共事業や土地取引の円滑化、災害復旧の迅速化などの効果が期待されております。近年、ICTを活用した、ドローンによる上空からの測量など、測量に関する技術は著しく進歩しているところではありますが、本調査では、現地での土地所有者による境界位置の確認が不可欠であります。都市的な土地利用が進んだ本市では、土地の細分化が進んでおり、境界の確認作業が長期化することや、多額の調査費用が必要となることなどが想定されます。このようなことから、調査に取り組むための組織体制のあり方や、調査費の確保が課題であると捉えており、これらの課題を整理したうえで、慎重に対応する必要があるとの考えから、現在のところ、本調査に着手する予定はございません。
平成18年2月発行の「習志野議会」と言う冊子の中に地籍調査に関する、当時の真政会の一般質問の記事がありました。内容は、「地籍調査の促進を強く求める。大地震・災害等により地形が激しく変化してしまった時などのために地籍調査が必要。個人の土地が災害により、境界が不明になった場合でも、地籍調査済みであれば簡単に基準点から測量し個人の土地は守られる。我が市の早急な地籍調査の促進を求める。」これに対して習志野市の回答は、「現在は測量基準点を設置する作業を進めており、19年度から取り組みに向け進めていきたいと考えている。」と答えています。あれから15年、習志野市だけではなく、多くの市町村で地籍調査の作業が進んでおりません。何故進まないのか、その理由について、何点か質問をしたいと思います。まず初めに、地籍調査に係る費用について、地籍調査を実施するにあたって、国や県などからの財政支援等はあるのでしょうか、お伺い致します。
地籍調査に係る費用の財政支援等についてお答えいたします。地籍調査に係る費用につきましては、国及び県がその一部を負担することとなります。その割合ですが、国が「2分の1」、県が「4分の1」を負担し、残りの「4分の1」を市町村が負担することとなります。また、市が負担する費用については、その8割が特別交付税の対象となり、市の実質負担は、全体費用の「20分の1」 (5パーセント)となります。
費用負担については、国・県や特別交付税で95パーセントを負担し、習志野市では、わずか5パーセントの負担で済むと理解致しました。次に、千葉県内でも地籍調査が実施されていると思いますが、千葉県内の他市町村の調査実施状況はどのようになっているのか、お伺い致します。
千葉県内における、調査の実施状況についてお答えいたします。令和2年度末現在で、調査が完了している市町村は、神崎町、多古町、東庄町、一宮町の4町であります。また、調査実施中が、千葉市、木更津市など21市町村で、調査には着手しているものの休止中となっているのが、市川市、成田市など8市町となっております。千葉県全体で、調査に着手している率は、約61パーセントとなっております。一方、本市をはじめ、船橋市や松戸市など21市町が調査に着手していない状況であります。
千葉県全体の調査着手率は、約61パーセントということですが、それでは、近隣市における実施状況はどのようになっているのか、お伺い致します。
近隣市の実施状況についてお答えいたします。令和2年度現在における、近隣市での実施状況ですが、近隣では、調査が完了している市はございません。調査を実施中の市が千葉市、八千代市、浦安市で、調査には着手したものの、現在、休止中となっている市が、市川市、流山市、柏市となっております。また、事業に着手していない市は、船橋市、鎌ケ谷市や松戸市となっております。
地籍調査を実施するにあたっては、先程の市長答弁にもありましたように、「組織体制のあり方や、財源の確保が課題と捉えている。」とのことですが、これら課題に対し、今後どのように対応するか、考えがあれば教えていただきたいと思います。いかがですか。
地籍調査を実施するうえでの課題と捉えている組織体制のあり方や、財源の確保、これらの解消に向けた、今後の対応についてお答えいたします。市長答弁にありましたとおり、現在のところ、地籍調査に着手する予定はございません。しかしながら、本調査により期待される効果については、十分認識をしておりますことから、今後の取り組みといたしましては、千葉県内において、既に調査に着手している市町村の事例を参考にするため、聞き取り調査などによる情報の収集や、調査未着手である、近隣市の動向にも注視するとともに、研修や講習会への参加を通じて、職員の知識の向上を図るなど、課題の解消に向けて、調査、研究等に努めてまいたいと考えております。
地籍調査を実施するうえでの課題については理解いたしました。現状においては、直ちに調査に取り組むことは考えていないということですが、国が進めている事業でもあります。また、県内で約61パーセントの市町村が、既に調査に着手しているという現実もあります。調査費用の大部分は、国・県が負担することで、財政面で負担軽減も図られます。何より、調査により得られる効果も、今後の習志野市のまちづくりに寄与するものと思われます。地価の安い土地ならばともかく、地価の高い土地の境界立ち合いや確定には、膨大な費用と時間がかかると思われます。まずは、官民境界や道路境界が確実に出来る様、調査を行う、組織の体制整備や財源の確保など、非常に難しい課題ではありますが、これら課題をしっかりと整理していただき、近隣市の動向にも注視して、なるべく早い段階で、調査に着手していただけるよう要望といたします。